ささっと再見

応募期間が18日から24日へ一週間弱延びていた。

だからというわけではないけれど、
奥原浩志『タイムレスメロディ』と青山真治『ヘルプレス』をささっと再見。
タイムレス....はなんと言っても楽器の選択センスや音楽の扱いが
10年前の感覚と今では感じさせられつつもとてもいい。
青柳さんの独特の話し声と言葉遣いに他に見られない雰囲気が醸し出される。
ビリヤード場のボロボロぶりもいい。
適当な布でそれっぽくした小さいソファや紙パックの牛乳やガラス瓶のコーラ、
ビリヤード台をベットのかわりにして寝たり、
おきがけに珈琲を入れてもらう場面、
拾ったトランペット、タダで譲り受けるピアノ、
夜に1人で突然そのトランペットを衝動的に床に叩き付けようとしてやめる焦燥感のようなもの、
主役のミュージシャンのカジュアルな服装など、
それら全てが90年代末の「気分」表出してると思う。
カメラはあまりパンしたり震える事なく静止して、それらの美しい光景をとらえつづけている。
それにたいしヘルプレスはあたらめて見るとカメラワークのすごさを感じる。
映像の動き、切り替わり、またはそのテンポがまず素晴らしい。
それは何かの生き物のうごめきのようだ。
青山真治作品のテーマに通低しているのは人間関係の極限的なゆがみみたいなもので、
ここではそれが極点に達したとき、浅野忠信演じる青年は激情に駆られ殺人を犯す。
(人との密な関係性を希求しながらも、それ故に引き寄せる破綻といったところか。
接触をしない事を描きつづけた90年代の黒澤清とその部分で対極にある気がする)
それは彼の小説などを読むとより鮮烈に感じさせられるのだが、
おそらく監督本人の出自に何か関係がありそうな
そのゆがみのような「震え」がそのまま映像ワークにつながっているように感じる。
この作品あたりからはじまり、あの『ユリイカ』へ結びついていくのがよくわかる。
ただ才能や技術だけでは描き得ない、何か。
青山作品はその後も一貫して同じテーマを描いていて、それは『サッド・ヴァバケイション』を差し引いて
レイクサイド・マーダーケース』や『エリエリ・レマ・サバクタニ』を見ても明らかだ。
今の日本で僕が一番好きな映画監督。
この2作で見いだす共通点の分かりやすい例は、コーラがガラス瓶というのと、破壊衝動など。

ところで、半身よくしていたらいつの間にか寝ていて、気付いたら外が明るくなっていた件。
最近は4時でもう陽が出てきます。